違和感1【R】
クラブに通い出して一ヵ月、毎週の指導に加えて毎日家でやるようにと言われて続けたストレッチの効果を、達也は日に日に実感していた。前屈をしても床に届かなかった手も、毎日続けると楽々届くようになる。肩や首の痛みを覚えることもなくなり、歩く姿勢が良くなったと言われることもあった。特に変化を感じるのは朝だ。ストレッチをするようになってからほぼ毎朝、起きると下半身がきつくなっている。達也の体の調子が良くなった証だろう。
ベランダにいる雀のさえずりで目が覚めた。スウェットパンツを押し上げているそれを隣で寝ている圭介に気付かれないようにしながら布団を出る。ギシ、とベッドを軋ませて立ち上がった時、いきなり手首を掴まれて引き戻された。向かい合って横になる。圭介の切れ長の目がしっかり達也を捉えている。
「おう」
「け、圭介、おはよ」
「朝から元気だな」
下半身を撫でられて声が漏れる。
「ちが、これはその……」
「知ってるよ。運動やり出してからだよな。最近顔色いいもんな。クラブでもマッサージされる度に勃つのか? ほんとあの日は泣きながら相談してくるからおかしいのって」
初めてクラブに行って雅久にマッサージをされた日、ストレッチを中断して慌てて家に帰った達也は、ことの詳細を圭介に話した。だが圭介はそれを「よくあることだ」と笑い飛ばしただけだった。達也はそれを聞いてようやく安心したのである。
やわやわと揉まれ、逃げようとすると背中に腕を回されて動けなくされる。
「け……、だめだって。朝から」
「日曜なんだからいいじゃねーか。朝、ゆっくりやるの久しぶりだな。さっさと脱げって」
もそもそと布団の中で脱いだ。上も、と言われてあっという間に全裸になる。朝陽が照らすベッドの上で肌を見せるのはいくら相手が圭介でもためらう。
「乗れよ」
「は、ずかしい。明るいから……」
「俺に動けってのか?」
そう言われると従わざるを得ない。達也は顔を真っ赤にしながら圭介に跨った。圭介は達也の濡れ光っている亀頭を指先で撫で、トントンと叩いた。
「ん、ぁっ……先、だめ」
「弱いとこ狙ってんだから」
圭介は先走りを全体に塗り広げて、親指と人差し指でゆっくり扱いた。ピクピクと痙攣させて恥ずかしがる姿は何度見ても飽きない。
「ん、ん……すぐイッちゃう……」
「待て、まだ後ろ慣らしてないだろ。見ててやるから自分でやってみろ」
枕元に常備しているチューブを渡し、急かした。達也は圭介に跨ったまま四つん這いになる。手の平に出した液体を自分で後孔に塗りたくり、指を入れてほぐした。すぐ真下で圭介が見ている。圭介はよく足を言い訳にして達也に自分でやれと強要するが、単にその姿を眺めたいだけだ。
――悪趣味だ……。
だけど圭介に負担を掛けたくない。込み上げる羞恥心を抑えながら達也はいつも圭介のいいなりだ。ほぐしながら、頭を引き寄せられてキスをする。
「……っ、ふ、ぁ」
「入れるぞ」
上半身を起こした圭介は、いつの間にか膨張している自身を達也の後ろに宛がった。完全に繋がると圭介は目の前にある達也の胸をむさぼった。きつく吸い、指で転がし、わざと痛がるように強く弄る。そのまま片手が達也のものを握る。
「あっ、け、いすけ……! あ、いや」
「ほら、早く動け」
「力が入らない、よぅ……、んっ」
それでも動かなければいつまで経っても終わらない。
「……なあ、達也、クラブで運動してる時もこんな顔すんのか」
「し、てなっ……あ、」
「その顔絶対、誰にも見せるなよ」
「だれがっ……見るの……」
「俺から離れるなよ、いいな」
「けいすけ……圭介、もういく……っ」
張り詰めている先端を強く弾かれ、達也は小さく悲鳴を上げた。
そろそろ支度をしないとリハビリの時間に遅れる。もうすぐ九時だというのに圭介はまたすやすやと寝息を立てた。どうやって起こそうかと考えながら体を撫でた。腹筋はまだ少し割れている。二の腕は心なしか柔らかくなった。腰から太もも、起き上がって左足首を触る。少しでもマシになればという思いでまんべんなくさすった。
「……やめろ」
右足で手を払われる。
「感覚はある?」
「ある。別に麻痺してるわけじゃない」
「痺れは? 少しはマシになってる?」
「別に」
「ね、やっぱりトレーナー変えない? 僕が今指導してもらってる堤先生、いいと思う。僕が一ヵ月通っただけで体が変わった気がするんだから、圭介も何か変わるかもしれない」
「しつけーよ」
「もう一度病院に行こう」
「行っても変わらねーよ。原因分からなかったじゃねえか」
「でも、僕みたいな運動神経が悪い奴ならともかく、圭介はもどかしくないの?」
「うるさい。もうその話はするな」
布団を被り直して達也の小言を拒否する。
「もう起きないと遅れるよ、リハビリ」
「今日は休む」
何度か体をゆすったが、圭介は答えなかった。これ以上しつこくすると本気でリハビリをやめかねない。達也は溜息をついて寝室を出た。
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ベランダにいる雀のさえずりで目が覚めた。スウェットパンツを押し上げているそれを隣で寝ている圭介に気付かれないようにしながら布団を出る。ギシ、とベッドを軋ませて立ち上がった時、いきなり手首を掴まれて引き戻された。向かい合って横になる。圭介の切れ長の目がしっかり達也を捉えている。
「おう」
「け、圭介、おはよ」
「朝から元気だな」
下半身を撫でられて声が漏れる。
「ちが、これはその……」
「知ってるよ。運動やり出してからだよな。最近顔色いいもんな。クラブでもマッサージされる度に勃つのか? ほんとあの日は泣きながら相談してくるからおかしいのって」
初めてクラブに行って雅久にマッサージをされた日、ストレッチを中断して慌てて家に帰った達也は、ことの詳細を圭介に話した。だが圭介はそれを「よくあることだ」と笑い飛ばしただけだった。達也はそれを聞いてようやく安心したのである。
やわやわと揉まれ、逃げようとすると背中に腕を回されて動けなくされる。
「け……、だめだって。朝から」
「日曜なんだからいいじゃねーか。朝、ゆっくりやるの久しぶりだな。さっさと脱げって」
もそもそと布団の中で脱いだ。上も、と言われてあっという間に全裸になる。朝陽が照らすベッドの上で肌を見せるのはいくら相手が圭介でもためらう。
「乗れよ」
「は、ずかしい。明るいから……」
「俺に動けってのか?」
そう言われると従わざるを得ない。達也は顔を真っ赤にしながら圭介に跨った。圭介は達也の濡れ光っている亀頭を指先で撫で、トントンと叩いた。
「ん、ぁっ……先、だめ」
「弱いとこ狙ってんだから」
圭介は先走りを全体に塗り広げて、親指と人差し指でゆっくり扱いた。ピクピクと痙攣させて恥ずかしがる姿は何度見ても飽きない。
「ん、ん……すぐイッちゃう……」
「待て、まだ後ろ慣らしてないだろ。見ててやるから自分でやってみろ」
枕元に常備しているチューブを渡し、急かした。達也は圭介に跨ったまま四つん這いになる。手の平に出した液体を自分で後孔に塗りたくり、指を入れてほぐした。すぐ真下で圭介が見ている。圭介はよく足を言い訳にして達也に自分でやれと強要するが、単にその姿を眺めたいだけだ。
――悪趣味だ……。
だけど圭介に負担を掛けたくない。込み上げる羞恥心を抑えながら達也はいつも圭介のいいなりだ。ほぐしながら、頭を引き寄せられてキスをする。
「……っ、ふ、ぁ」
「入れるぞ」
上半身を起こした圭介は、いつの間にか膨張している自身を達也の後ろに宛がった。完全に繋がると圭介は目の前にある達也の胸をむさぼった。きつく吸い、指で転がし、わざと痛がるように強く弄る。そのまま片手が達也のものを握る。
「あっ、け、いすけ……! あ、いや」
「ほら、早く動け」
「力が入らない、よぅ……、んっ」
それでも動かなければいつまで経っても終わらない。
「……なあ、達也、クラブで運動してる時もこんな顔すんのか」
「し、てなっ……あ、」
「その顔絶対、誰にも見せるなよ」
「だれがっ……見るの……」
「俺から離れるなよ、いいな」
「けいすけ……圭介、もういく……っ」
張り詰めている先端を強く弾かれ、達也は小さく悲鳴を上げた。
そろそろ支度をしないとリハビリの時間に遅れる。もうすぐ九時だというのに圭介はまたすやすやと寝息を立てた。どうやって起こそうかと考えながら体を撫でた。腹筋はまだ少し割れている。二の腕は心なしか柔らかくなった。腰から太もも、起き上がって左足首を触る。少しでもマシになればという思いでまんべんなくさすった。
「……やめろ」
右足で手を払われる。
「感覚はある?」
「ある。別に麻痺してるわけじゃない」
「痺れは? 少しはマシになってる?」
「別に」
「ね、やっぱりトレーナー変えない? 僕が今指導してもらってる堤先生、いいと思う。僕が一ヵ月通っただけで体が変わった気がするんだから、圭介も何か変わるかもしれない」
「しつけーよ」
「もう一度病院に行こう」
「行っても変わらねーよ。原因分からなかったじゃねえか」
「でも、僕みたいな運動神経が悪い奴ならともかく、圭介はもどかしくないの?」
「うるさい。もうその話はするな」
布団を被り直して達也の小言を拒否する。
「もう起きないと遅れるよ、リハビリ」
「今日は休む」
何度か体をゆすったが、圭介は答えなかった。これ以上しつこくすると本気でリハビリをやめかねない。達也は溜息をついて寝室を出た。
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