archive: 2019年04月 1/2
GUILTY ‐ギルティ‐

(あらすじ)所轄の刑事課に所属する巡査部長の野田は、菅野警部が大嫌い。反りの合わない上司と、無惨な死体に直面する日々に、仕事に対する意義を見出だせない中で目の当たりにした親友の自死。ショックで落ち込む野田を「慰めて」くれたのは……。そして野田の知らない菅野の過去とは………。※2017年エブリスタBL合戦ビーボーイ賞最終選考通過作品。■ 暗闇1■ 暗闇2■ 暗闇3■ 暗闇4■ 罠1■ 罠2■ 罠3【R】■ 罠4■ プッシーキャッ...
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GUILTY『菅野の過去2』 その夜

あと三十分もすれば定時になる。 このまま何も事件が入らなければ、予定通り五時過ぎには仕事を終えられるだろう。 ――車で待ってろよ。―― 菅野があんなことを言うもんだから、時間が経つにつれて頭の中も体もすっかりその気になっている。トイレでの出来事の続きを考えるだけで疼いてしまった。認めるのはやはり癪だが菅野とするのはいい。乱暴に扱く手とか、無遠慮に掻き回す指とか、噛み付いてくる口とか、俺がして欲しいと...
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勘違いの恋
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3
*** 結局、僕はその牛タンの店でひとり食事をしている。 アホすぎる、間抜けすぎる、こんなに馬鹿馬鹿しいことってない。高室さんを信じてないわけじゃない。ただ僕は、不安なんだ。もし見つかったら偶然ということにしておこう。ひとり飲みするのが好きなんだってサラッと言う。本当は好きじゃないが。百円ショップで急きょ買ったキャップを深く被り、店の隅で牛タンビーフシチューを味わう。確かにこれは美味だ。 午後七...
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2
*** 木曜日の夜、家でDVDを見ながらふと思いついた。明日は金曜日だ。高室さんを誘ってどこか飲みに行こうか、と。『お疲れ様です。もう家にいますか?』 さっそく送ったメッセージに、二分後に返信があった。『お疲れ。今しがた着いたところだ』 えらくカタいのは気のせいだろうか。『明日の夜、良かったら飲みに行きませんか』 すぐに既読にはなったが、返信は暫くなかった。迷惑だったのだろうか……。そして、『明日の...
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すれ違いの恋 1
この大きな会社で、本社だけで何百という人数がいる中で、綺麗な女性社員もたくさんいるというのに、毎日あの人のことばかり見てしまうのは、幾度となく視線が合うから。そして視線が合う度に、あの人は優しく微笑みかけてくれる。 幸せ……。だけど、いまだ信じられない。 僕が男性を好きになるなんて。 *** 僕が入社と同時に係長に昇任した高室良彦さんは、社内男性人気ナンバーワンだと聞いた。顔良し、頭良し、性格良し...
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24

――― 雨は止んで、いつの間にか太陽が現れた。蒸し暑さとともに木漏れ日が境内の石畳を彩る。雨が降ると薄気味悪い神社も、陽に照らされると神秘的な光景に変わる。僕たちは特に何かを注視するわけでもなく、ふたりで賽銭箱に背中を預けて肩を寄せ合ってぐったりしていた。「……今、何時かな」「さあ……」「もう行く?」「……どこに?」 川原くんは僕の肩に頭を乗せたまま気のない返事をする。「ここを立ったら、福島さんはまた俺...
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23【R】

そろそろ港に戻ろうと、迷路のような坂道を上がったり下りたりしながら元来た道を歩いた。次第に太陽が雲に隠れ、日差しがなくなっていく。見上げると雨雲が近付いていた。さっきまで天気が良かったので傘を持ってくることなど微塵も頭になかった。僕は急ぎ足で坂を下っていったが、港までは間に合わず、やがて雨雲に追いつかれてシャワーのような雨に見舞われた。水色のポロシャツはあっという間に色が変わり、髪の毛もすぐにび...
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22

さくらに虚を突かれて、自分の浅ましさと進歩のなさに気付いてしまった。僕だって会えるものなら会いたい。今、こうして自分を磨いていてるのも、いつか会えた時に恥ずかしくないようにするためだ。だけど、向こうには家庭があるかもしれないし、自分から突き放して、連絡も絶っておいて、今更ムシが良過ぎるんじゃないだろうか。そう考えると、このまま思い続けているだけでもいいか、という諦めもあった。 ――じゃあ、なんのた...
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21

2019・04・16(MON)00:00 Category 未分類 結局、太平洋には行きませんでした。寝不足もあったし、彼もすっかり乗り気でなく、「帰ろうか」と聞くと「はい」と返ってきたので、ホテルを出たあと、元来た道を戻りました。 そして、いつもの駅前広場のロータリーで彼を下ろして、「さようなら」と、彼は去っていきました。元気でね、とか、頑張ってね、とか、僕も言えたらよかったのでしょうが、何を言っても上辺だけの言葉にし...
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