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カルマの旋律

(あらすじ)形成外科医の神崎正臣は、高校の同窓会で17年ぶりに初恋の相手、栄田ハルカと再会する。ハルカの美しさと彼の弾くピアノの音色に心を奪われていた神崎は、どうしてもハルカに振り向いて欲しいと願うが、ハルカは同じく高校時代の同級生の、佐久間秀一と付き合っていた。 しかし、ハルカを疎ましく思っていた秀一は、ハルカをひどく振ってしまう。ハルカを悲しませて傷付け、死に追いやった秀一を憎んだ神崎が、彼に下し...
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カルマの旋律 最終話

病室を出た秀一と志摩は、院内のカフェテリアに入った。二人掛けのテーブルで向き合って座る。簡単な挨拶のあと、秀一はその後の体の具合を聞かれて、順調であることと世話になった礼を述べた。注文したコーヒーが届いてから、志摩が話に入った。「俺と正臣……神崎は、幼馴染でね。分野は違うが同じ医師という立場もあって、この歳になっても交流がある」 秀一はそれには驚かなかった。先ほどの志摩の神崎への接し方を見るとその...
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カルマの旋律10-1

秀一が目を覚ました時、どうして自分が病院のベッドで寝かされているのか暫く理解できなかった。確か本屋で立ち読みをしていて、いきなり神崎が走って来たと思ったら背後から強烈な破壊音とともにプッツリ意識が途切れた。見る限り大きな怪我はなさそうだが、手や顔にところどころテープが貼られている。一緒にいたはずの神崎の姿が見えず、ベッドから降りようとしたところに看護師が現れた。「気が付きました?」 以前、バイク事...
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カルマの旋律9-3

*** 一度戻りかけた体重がまた落ちて、なにかと体調を崩しがちだった秀一は、少しずつ外出を増やして崩れた生活習慣を改善させていった。神崎は一日のほとんどは留守なので日中の秀一がどう過ごしているかは知らない。多田の話によると、朝は周辺を歩いて運動したり、ハローワークへ通っているという。食事の準備は意外にも多田と秀一がふたりですると言った。もともと営業職の秀一は弁がたつので多田との会話も弾むらしく「...
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カルマの旋律9-2

「佐久間!!」 けれども秀一は片足を浮かせ、何もないその向こうへ進もうとする。体が傾きかけたところを、腕を掴んで引き戻し、勢いで一緒に倒れ込んだ。神崎に覆い被さる秀一の頭を抱える。顔は熱いが、手足は氷のように冷たい。ふと見渡すと空になった酒の缶や瓶が転がっていた。一体、いつからここにいたのか。あと少し遅ければ秀一は落下していただろう。ハルカが飛び降りたあの瞬間をまざまざと思い出し、心臓がバクバク音を...
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